着ていく服が決まらなくて、
遅刻しそうだから、
動きやすい膝上のスカートみたいなパンツと
ニーハイソックスと、薄手のジャケットを着て家を出た。
バスを何本か見逃して、朝なのに空いてるバスに乗る。
隣のおじいさんがお餅の話をしていて、
こっそり喉に詰まらせない事を祈った。
そんな私に運転手さんは気を良くして、
遅刻しそうだと伝えたら、
特別に坂道まで行ってくれるらしい。
同乗者の緑色の髪のサラリーマンも喜んで、
坂道の一番上で、4人でバスを飛び降りた。
空を車が飛ぶかわりに、
坂道を下って人が飛ぶようになった。
遠い昔、人は空を飛ぶことを夢見ていたって。
私は空を飛ぶ事がきらいだ。
おじいさんは、年を取ると飛距離が縮むから、と
先におばあさんの待つ家の方向へ
軌道をかえてゆっくりと降りていって、
お年寄りは大切にしないと、
と運転手さんも一緒に降りていった。
学校は山の上にある。
少し遠いけど大丈夫?とサラリーマンが心配してくれた。
私は学校で一番飛ぶのが上手です。
と言ったら、グレイト。と手を叩いて、
くるくると回って手を広げながら降りていった。
朝から飛びたくないから、バスに乗ったのに。
学校に着いたらやっぱり遅刻で、チームメイトに怒られた。
しかも飛行訓練用のゴーグルを忘れた。
学校で借りれるゴーグルが、
今日の服装と合っていてよかった。
それだけが、今日の全てもの救いだった。
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